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クラシック入門。これから聴くと楽しい第2回

プロコフィエフまじ最高。コンポーザーは聴いた方が良い。

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出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BB%E3%83%AB%E3%82%B2%E3%82%A4%E3%83%BB%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%B3%E3%83%95%E3%82%A3%E3%82%A8%E3%83%95

美しくもどこか珍妙な唯一無二の作曲家。

初心者にクラシックをお勧めするという連載第2回にして、いきなりコンポーザーは聴いた方が良いという副題いれてしまいましたが、なんでかというと、僕が一応コンボーザーというか曲を作って生活している人なので、作曲したり音楽でご飯を食べて行こうという人の参考になれば良いかなという思いもあって入れてみました。とはいえ小難しい話をするつもりはなく、別におれ曲作らないよという人にも楽しく読んでもらえると思うのでよろしくお願いします。


で、プロコフィエフです。前回のショスタコーヴィチに続き革命吹き荒れるロシアの作曲家です。この人の特徴として天にも昇るような美しいメロディーの曲も書けるのに、なにこれふざけてんの?ってずっこけそうな曲もあったり、両手を挙げずにはいられないかっこいい曲もあったりと、とても不思議な方です。ちなみに僕の中ではバッハベートーヴェンより偉大で、おれランキングではドビュッシーと並んで人類史上最も最高の音楽家という位置づけになっております。まずは有名なこれを聴いてみましょう。

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交響的物語「ピーターと狼」。子供のために作られた可愛らしいオーケストラ作品。聴いたことあるでしょ??

この曲の冒頭、CMで流れていたりTVでもよく使われるのでなんか聴いたことあると人多いと思います。少年ピーターの元気で快活な様子を上手く表していて、一度聴いたらだれも口ずさめそうなメロディーです。


が、しかしこれ単純なようで中々な技術が詰め込まれいて、冒頭から11秒までの4小節はハ長調なのですが、12秒からの4小節で変ホ長調に転調して、またハ長調に戻ります。楽器やったりしない人にはちんぷんかんぷんかもしれないんですが、調の概念分かる人がちょっとピアノとかでメロディーなぞってみると、おお!ってなるかと思います。

分からない人には乱暴な説明ですが、楽曲をデパートだとすると、調はフロア(階)みたいなもので、シンプルな曲は1Fだけで買い物がすむんですが、複雑な曲になるとあっち行ったりこっち行ったり何回も転調したり、まぁ音楽を退屈させない技術の一つです。ただ階を上がったり下がったりって労力いるので、そんなに簡単にぽんぽん移動できないんですね。聴いてる方も疲れちゃうし。

それが聴いてる方にも分からないようにハ長調から変ホ長調というのは、例えばレイクタウンmori1Fのヴィレヴァンにいたはずなのに、いつのまにかkaze3Fのヴィレヴァンに連れて行かれたような感じ、ジョジョで言うとディオのザ・ワールドと対峙したポルナレフの気持ちが近いと思います。

中二病くすぐる戦争ソナタ

こんな感じにファニーだけどなんかすげえみたいな曲の多いプロコフィエフ(略してプロコという可愛さ)ですが、ショスタコーヴィチと同じく、若い頃はバキバキの前衛志向でした。若い頃からピアニストしても有名で、柔らかいオーケストレーションとは違ってピアノ曲には鋼鉄のような固く激しい曲も多いです。で、有名なのがピアノソナタ7番。6〜8番を通称戦争ソナタというのですが、高速7拍子で駆け抜ける7番第3楽章は、戦争、高速7拍子という中二病くすぐるワードでそれだけで魅力です。

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13:46からが第三楽章。ポリーニの演奏もめちゃんこカッコいい…!!!

この曲、さそうあきらの漫画「神童」で主人公のうたが弾き倒しピアノ弦ぶち切るシーンでも使われています。映画ではこのシーンあったか覚えてないんですが、うた役の成海璃子ちゃんは高校生の時からあぶらだこ村八分を聴いているという我々売れないタイプのミュージシャンからするととても尊い存在です。


出典:http://www.amazon.co.jp/%E7%A5%9E%E7%AB%A5-1-%E5%8F%8C%E8%91%89%E6%96%87%E5%BA%AB%E2%80%95%E5%90%8D%E4%BD%9C%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA-%E3%81%95%E3%81%9D%E3%81%86-%E3%81%82%E3%81%8D%E3%82%89/dp/4575724912

おすすめ曲あれこれ

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ロメオとジュリエット。素晴らしい小曲がちりばめられた宝石箱の様な楽曲。冒頭の前奏曲の美しさは筆舌に難く涙無しには聴けない…。
無垢な少女の希望と儚さをわずかな時間で表している17:55からの「少女ジュリエット」、CM曲でもおなじみの27:52からの「騎士たちの踊り」あたりから聴くと入りやすい。

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Op.39の五重奏曲。なんすかねこのメロディ笑 何回聴いてもずこーと腰からくだける。かっこよさとかわいさを備え持つプロコは最高のイケメン。

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スキタイ組曲。拳を突き上げたくなるやつですね。太陽神ヴェレスと娘アラを賛美した冒頭の破壊力はそこらのロックバンドが泣いて謝るかっこよさ。大太鼓のドスンって感じも最高ですね

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交響曲第一番の第2楽章。古典的なザ・クラシックな曲風ですが、ゆったりとした3/4のリズムに細かい3連符を巧みにつかったこういう躍動感ありつつ不思議なリズムもプロコの特徴。個人的によく真似する手法。

日本に来た初めての大作曲家。亡命〜帰国の謎。

とまぁこんな幅広い作風のプロコですが、おすすめ曲書いてると止まらないのでここらでやめておくとして、なんとこの人日本に来た事があるんですよ。教科書に載るクラスの作曲家が来日した例としては初めてです。北斎に憧れたドビュッシーだって日本の土は踏んでないですからね。

アメリカに亡命する途中に立ち寄ったというだけなんですが、この亜熱帯の島国きついわー暑いわーみたいな日記書いてます。来てくれたのは嬉しいけどこの印象はちょっとさみしいですね…。

亡命した理由はやはり革命から逃れるためなんですが、無事に海を渡りアメリカやパリを拠点として順調に音楽活動をこなして行き、結婚し子供を授かるなど未来は明るいものにみえました。

ところがなんと、40歳くらいになってとつぜん祖国ロシアに戻ります。1933年のことなんですが、スターリンによる粛正に、ホロドモールと言われる大飢餓が起きたり、かなりデンジャラスな状態です。まさにおそロシア。何故戻ったかはいまいちよくわからないんですが、そこはスターリン独裁体制、難しい前衛音楽は否定され、わかりやすく党を讃えるような曲を作れと脅される訳です。予想出来なかった訳ないと思うんですが、当然命は惜しいためプロコフィエフの作風もだんだん変化して行きます。

ただこの変化が、もともとあった前衛精神やウィットに富んだ諧謔性に、帰国後に培った大衆性がうまくはまり、歴史上比較するもののない唯一無二の音楽を形成していきます。美しくも何か変でだけどなんか口ずさめるというワンアンドオンリー。前述のロメオとジュリエットやピーターと狼はその良い例。

当然スターリン独裁時代はろくでも無かったと思うし、北方領土早く返せやばかやろうと思っておりますが、共産党独裁の歪みが生み出した新しい芸術の創出には正直ちょっと感謝しちゃうんですよね。プロコやショスタコがずっと自由に音楽を作れていたらどうなったのかとか考えるのは不毛ではあるけど、自分がこんなに熱中するような音楽にならなかったんじゃないかなーとか思ったりしつつ、コンポーザー志望の方にも是非聴いてもらいたいプロコフィエフでした。

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この記事を書いた人


作曲家。
バンドマンなのに企業やアイドルに曲を作って生活してます。

ローファイとクラシック好き。

https://twitter.com/hakoniwa_ha

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何から聴けば良いかわからない…(´・ω・`) これから聴くと楽しいクラシック入門(3)

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