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高野政所インタビュー

元FUNKOT伝道師、高野政所の今、そしてこれから

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DJ JET BARON a.k.a. 高野政所。主に「FUNKOT」の伝道師として彼の事を知っている人が多いのではないか。元はテクノ/ナードコア・ユニットのレオパルドンの設立者である。
2009年、インドネシアだけで流行する謎のダンスミュージック「FUNKOT」を発見。その常識知らずの破壊的な威力に圧倒され啓蒙/研究活動を開始。TBSラジオ「ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル」に自身が出演したFUNKOT特集が大反響を呼び、ネットや新聞などにも飛び火。紹介するだけではなく自身でも曲の制作やリミックスを開始し、編曲を担当したアイドル9nineのシングルはオリコン・デイリー・ランキングで最高4位を記録、2013年4月に発売された3人組アイドルhy4_4yh(ハイパーヨーヨ)の楽曲の編曲も務める。さらにポップスからHIPHOPまで様々なグループのREMIXや楽曲提供を行い、ユニバーサルミュージックより自身のオリジナル曲「Funkot Anthem」を含めたEPはiTunesダンスチャートで1位。総合アルバムチャート3位を記録している。またインドネシア現地のFUNKOT専門レーベルKOTA RECORDSよりシングルも発表しており、現地でも非常に評価が高い。
2014年にはついに現地インドネシアの3000人規模の巨大ディスコでのプレイを実現。ローカルディスコを多いに盛り上げた。また2015年ファーストメジャーアルバム「ENAK DEALER」をユニバーサルミュージックよりリリース。音楽誌などで高い評価を得た。
音楽だけではなく、その「信頼できる」と評される声とトーク・スキルでTBSラジオの番組「ザ・トップ5」では三期に渡ってメイン・パーソナリティを務めた。
一年間の活動休止から2016年再び活動を再開し、様々な現場でのDJ活動、及びCHOPSTICKとともにユニット「贅沢ホリデイズ」を結成、またG-CAPLICO名義でHIPHOPトラックを製作している。2016年、8月にスモール出版より初著作「前科おじさん」が好評発売中である。今回は彼にインタビューを行った。

現在の活動について

・今現在、DJ JET BARON以外にも「レオパルドン」、「贅沢ホリテイズ」、「やばさRECORDINGS」等のユニット、レーベルを行っていますが、改めてそのコンセプトを教えてください。

レオパルドンは僕が一番長くやっているユニットで、1997年頃からやっています。もう20年くらいやってるんですね。
一応、僕個人のテクノユニットからスタートして、一応、ナードコアテクノと呼ばれている音楽をやり、途中で路線変更を経てテクノでラップをしてみたり、時代の歯車に合わない事やって全然売れない活動をしてきました。今は活動休止状態で、現メンバーはHABANERO POSSE/OZROSAURUSのGUNHEADと、沼津で料理のおいしい居酒屋「魚鳥木」を経営しているdoramaruです。みんな忙しいもんでなんとなく活動は止まってますね。
そういや、この前、レオパルドンのナードコア時代の没トラックをまとめてリリースしたら結構反応がよくてナードコアが時代と合ってるんじゃねえか、って気がしてます。だって、あのおかげでアパートの更新料なんとか払えましたからね。17年前の自分のボツ曲に救われると思いませんでしたよ。

で、DJ JET BARONは僕がFUNKOTをやる時の名前です。でも最近は四つ打ちの曲とかも作ってます。
やばさRECORDINGSはアパートの更新料をなんとか都合しないといけないと思って思いつきで作ったbandcampを使ったデジタル配信の個人レーベルなんですが、更新料を払えたので、後はアンダーグラウンドに自分が思う「やばさ」のある楽曲をマイペースでリリースしていこうと思っています。自分の楽曲や、友達や知り合いの曲しか出してないんで、ホントに物好きの人が気にしてくれれば良いです。リリースする楽曲のジャンルは関係なくやってますね。コンセプトは「シャレの分かる人と寛容な人に【やばさ】溢れる楽曲をリリースしていきます。」ですね。

その他に、今後、僕のメインプロジェクトになるのが、レゲエDeejayのCHOPSTICKさんとやっている「贅沢ホリデイズ」です。
贅沢ホリデイズは脅威の大型新人ですね。まだまともなリリースはありませんが、ライブを中心にやりつつ着々と世に出す準備を進めています。

また、ラッパーのメテオ、丸省とともに「Oreatachi」というHIPHOPグループをやっています。こちらもあと数曲でリリースができる状態になると思います。
HIPHOPトラックを作る時はG-Caplicoって名義でやってるんですけど、それは留置場でジャイアントカプリコばっかり食べてたので、思い入れがあるのと、ちょっとチカーノのラッパーとかみたいでカッコいいじゃないですか。ジー・キャプリコって読ませて。
それからその名義で、横浜のBAYHOODのメンバーで今勢いありまくりのYOS-MAG君とか、ラッパ我リヤのトラックとか作らせてもらったりとか。
HIP HOPのオケの仕事も募集しております。

逮捕以前と逮捕後

・逮捕以前と以後でやはり心境の変化があったと思うのですが、制作面、DJ面ではどのような影響を与えましたでしょうか?

そうですね。DJ活動は自粛期間はまるまる1年間やってなくて、制作は続けてました。制作に関しては、発表の機会が無くてもメシ食ったりウンコするぐらいのレベルでやりたい事なんだなぁと自覚しました。なので、ちゃんとこれで仕事になりゃあいいなぁと改めて思いました。

あと、自分がパクられた事でFUNKOTのイメージがガタ落ちしちゃったのと、純粋な若いファンコッターの心を傷つけてしまったんで、DUGEM RISING DJ TEAMという僕が立ち上げたFUNKOTのチームから自ら脱退しました。やっぱり前科おじさんがチームのボスじゃあかんかな、と。
そういう意味では「FUNKOT伝導師」から卒業して、俺がやりたい音楽をやりたいようにやろうって感じにシフトしてます。
良い意味で義務感がなくなったから気が楽ですよね。あんまり若い日本のFUKOTERは、俺の作るFUNKOTは人気なさそうだし。(笑)
丁度良いかなって。

DJとしてはFUNKOTはやはり最高に自由度が高く、かつ合理化されたジャンル・・・ジャンルというか手法だと思っているので、FUNKOTを続けてますが、選曲的には、よりその場のお客さんの好みに沿う様なプレイ、ひたすら機嫌をよくする男芸者スタイルを徹底するようになったと思います。
喜ばせた上で、自分のかけたい曲をかけさせてもらって聞いて頂く、みたいな。
ある意味、これは本場のFUNKOT DJっぽい王道のやり方なんですけどね。リクエストに答えて行きまっせ!!みたいな。

もう半年以上、近所のDJバーで週3~4くらいでイベントが無くてもバーのBGM代わりにFUNKOTでDJしているんですが、お客さんがアガってきて踊りだしたりとか、演歌のREMIXをかけておじさんを喜ばせるとお酒を奢ってもらえる。楽しいし、タダ酒飲ませてもらえるし、最高ですよ。
これからチップ箱とか置いておいたらちょっとは稼げるんじゃねぇかな?(笑)
「俺が酔っ払って曲をかけてるだけで、聞いてるヤツが何故か気分が良くなって、俺にタダ酒を奢ってくれるんだ」みたいな状況になってきてますよね。
タダ酒じゃなくて「金をくれるんだ」、になればもっと最高!

世界第三位の男

・「Waveform Music Lab」からハウストラックをリリースして、見事世界三位(Beatport)に輝きましたが、これからはDJ JET BARON名義でもFUNKOT以外の音楽を作っていくという事でしょうか?

多分、FUNKOT以降で僕の事を知ってくれた人はFUNKOT伝導師のイメージしかないと思うんですけども、もともとは電気グルーヴファンのテクノキッズだったんで、四つ打ちとかその他のエレクトロニックミュージックはこっそり作ってたんですよね。
とはいえ、FUNKOT伝導師はもう十分やったんで、自分のやりたい音楽をやりたいタイミングでやる、という感じで。
もともと今回のEPに収録されている「ACID TALKING MAN」という曲も2014年に作っていて、友達のDJとかには聞かせてたんだけど、FUNKOT伝導師だし、このタイミングで四つ打ちの曲をリリースするってのもアレなんで、出すタイミングを見失ってた曲なんですよね。
で、去年、Waveform Music LabのレーベルオーナーのDee-Sさんと知り合って、「実は俺四つ打ちも作るんすよ。」みたいな話になって、曲を送ったら気に入ってもらってリリースして頂いて・・STRATEGY OF THE NIGHTの方はACID...の方のリリースが決まって、二曲入りで出すからって言われて、あわてて作った曲です。
そんな流れでリリースしたら、まさかの世界三位!自分が一番驚いてますよ(笑)レオパルドンの人がDEADMOU5より上のランクに入っちゃダメだろ。って。

https://itunes.apple.com/jp/album/low-altitude-single/id1205790629
出典:https://itunes.apple.com/jp/album/low-altitude-single/id1205790629

地元ローカルでパーティをやるという事

現在は政所さん主宰の地元ローカルのパーティ開催が増えていますが、そこに行きついた理由を教えてください。

僕は目黒線不動前にあるTRIOというクラブで半年以上、定期的にパーティーをやらせてもらってるんですが、「近所のパーティーだったら歩いて行って、歩いて帰れるからマジ超楽じゃん」というのと、渋谷とか新宿なんかのクラブ激戦区でわざわざ競争するのが辛いってのがありますね。
やっぱり「近所」ってデカいんすよ。「近所にあるから」って理由で行く食べ物やとか飲み屋とかお店とかいくらでもあるでしょ、アレと同じで、近所でパーティーやってたらわざわざ都心の繁華街まで出て行くの面倒臭くなるんですよ。
あとジャンルで括るんじゃなくて、地域でくくるってのが面白い。

もちろんゲストで呼んで頂く時は渋谷、新宿でもどこでも行くんですけど、自分が主催だったら近所が一番いいですよ。やっぱり。
地元の人たちと仲良くなるし。あと都心のクラブとかに集まるクラブ音楽のリテラシーが高いリスナーのお客さんとかやっぱ気難しい所あるし、捻くれてるし、もっと楽しくやりゃあいいじゃん、と思う。「いい曲じゃん、楽しいじゃん、あ、これ知ってる!」くらいのお客さんを相手にするのが一番リアルですよ。よくない曲かけるとマジでつまんなそうにするし。超リアル!
だから、SNSとかやらない感じの地元の飲み客の人達にとって、僕はTBSでラジオやってた人でも、ファンコットの伝導師でも、レオパルドンでも、アシパンの元店長でもなく「常に調子がいい曲をかけるいつも地元の店にいるDJのおっさん」で通ってますよ。

リスペクトしているアーティスト

・リスペクトや影響を受けたアーティストを教えてください。(国内、海外問わず)

電気グルーヴはもう呪いみたいなもんなんで絶対そうですよね。
あと、FUNKOT界だと伝説のDJ、JOCKIE SAPUTRAですよね。音楽的にはFUNKOTとしてはすげえいなたい音なんだけど、マジで唯一無二で説得力がありすぎる、っつーか。FBに若手のインドネシアのFUNKOT DJと完全にロンパった目でニヤついて2ショット写真とか写ってる感じとか最高ですよね。
伝説!って感じ。

HIPHOPだと風林火山とかK-DUB SHINEさんですかね。俺、日本語ラップ聞き始めたのが、20代半ばでそれまでテクノ聞いてたから、同世代のHIPHOP育ちの人より後発なんですけど、それまであんまり言葉の意味がある音楽を聴いてなかった。
で、K-DUB SHINEさんのなんかの機会ではじめて曲を聴いて、「俺はスゲエ奴だ」っていう事を言い続けるだけで曲になるんだ!HIPHOPすげえ!」と思ってそれは衝撃でしたね。だから一時期、僕もラップしてたんですけど、ラップ専門でやってる人には絶対かなわないし、あんまり「俺はすげえ」って思う事がないし、ラッパーの友達も沢山出来たからそういう人に任せてます。
トラックメーカーに関して言うと、DJ PMXさんですかね。最高ですよね。

高野政所が選ぶヤバいアーティスト

・今現在、「こいつはヤバい!」というアーティストはいますか?

音楽やってる奴とか何かを発表しようとする人自体、ヤバい奴だとは思いますし、色々ヤバい人は居ますけど、音楽自体がヤバかったり、私生活がヤバかったり、性格がヤバかったり、本業がヤバかったり…笑
なんだろ、結局、ヤバさなんて、電波と同じで発信してたまたま受信する波調がバッチリあったものをヤバいと感じるから、アテになんないんだけども、最近だと、doramaruがやっぱりヤバいなと思いましたよ。レオパルドンのメンバーなんですけど、この前ソロのライブを沼津のイベントで見て、ああ、こいつヤバいなあ。と思いました。

作曲環境、こだわりについて

・現在、どういう環境で作曲を行っていますでしょうか?(DAW、機材等、またそれを使うに当たった経緯など)

パソコンとちっこいMIDI鍵盤で音楽を作ってます。DAWはPropellerheadのREASONだけです。なんでREASONなのかというと、それまでハード機材→MODとやってきて、DAWの出始めの頃に当時レオパルドンのメンバーだったフランク重虎に教えてもらって使い始めたからですね。
もう15年くらい使ってるし。自分にとって使いやすいのと慣れすぎてしまったんで、乗り換える気もあんまり無いです。

一時期、abletonを使ってる奴がイケてるんじゃないか、と思って挑戦したけど、長くREASON使いすぎてやっぱりシックリこなくて。
あと、現地のFUNKOTのREMIXERがFL STUDIOとACIDの組み合わせで作ってるんで、じゃあ俺も本場っぽくそうしようかな、とFLのお試し版をダウンロードして、試したときは使い方全く分からず、シンセの音を出すことも出来なかったんでスッパリ諦めましたね。


・曲を制作するにあたって、キック、ベース、上物など良く使うシンセ、こだわり等ありますか?

メインシンセはREASON付属のThorとか、あとはsubTractorっていうコレも付属のソフトシンセ。
reasonはVSTプラグインが使えないんで、みんなが使うような有名なのは使えないんすよね。
その代わり、RACK EXTENTIONっていうREASON専用のVSTプラグインみたいな規格でいくつかシンセがあって、場合によって使い分けてます。
あと、こだわりっていうか趣味なんでプリセットを使うことは無くて、だいたいゼロから音を作りますね。面白いから。
キックとかドラムの音とかは素材使ってますね。加工はしたりしますけど。


・マスタリングにあたって、どういう処理をしていますか?

REASONの付属のEQとかと、RACK EXTENTIONで買ったコンプとかマキシマイザーでやってますね。
マスタリングも正解ないじゃないですか?良い音なんていうけど、結局好みなんじゃねぇの?って割り切ってるから、とりあえず自分が気持ちよい音になるまで色々やって、こんなもんかな、っていう所で書き出してますね。WAVESとか使ってみたいけど、使える自信ないな。
あと、ちゃんとしたリリースをするものに関してはプロの人に頼むのが正解だと思います。

プライベートでよく聴いている曲について

・最近よく聴いている曲など教えて頂けたらと思います。

日本人の作った日本語で歌うハワイアンにハマってますね。昭和の憧れのハワイ!みたいな感じでめちゃいいんですよ。
チルアウトDJをする事が最近増えてるんですけど、たまに和製ハワイアンセットみたいなのもやってます。

■■■■

今後の予定

・今後のスケジュール、リリースなど教えてください。

贅沢ホリデイズの新曲「節子」のMVがそろそろYOUTUBEにアップされる予定です。現場では結構ライブしてるんですけど反響凄いっすね。
それからさっきも言った、HIPHOPクルー、Oretachiの楽曲ももうすぐ行けるかも。
あとは一緒に不動前でパーティーやってるDJのののが所属するumanecoのニューアルバムのトラックにも提供してますし、それからラッパ我リヤは、これが載る頃にはもう出てるかな?
やばさレコーディングに関しては発作的にリリースしたりもするんで、こちらはtwitterとかを眺めていてくださると助かります。

あとイベントに関しては不動前のtrioでHOOD SHOT!っていうパーティーを定期的にやってます。
最初は深夜ではじめたんですが、最近は真昼間のパーティーが一番楽しいと思っていて、おっさんが「昼間っから呑む酒はうめえな」的なアレで、やっぱ背徳感が楽しさにゲタを履かせてくれてより楽しいんですよいずれは平日の昼間って言う一番背徳感のある時間にパーティーをやって、無職とフリーランサーと時間に余裕のある経営者層とバカ学生しか来ないようなイベントをやりたいですね。

それから四月中に、DJに関してちょっと面白いキャンペーンを開始しようと思ってます。内容は始まってからのお楽しみって事で!

https://twitter.com/mandokoro
出典:https://twitter.com/mandokoro

https://mandokoro.bandcamp.com/
出典:https://mandokoro.bandcamp.com/

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LBTというレーベルに所属。DJ、トラックメイクを行っています。
「クラブDJストーム」というDJまんが(WEB上で無料公開)の原作も行っています。

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