アナログレコードが出来るまで
①カッティング作業
樹脂で出来たラッカー盤に、表面にあるザラザラとした溝を刻むカッティング作業。
録音された音を流しながらサファイアで出来た針で溝を刻んでいく。
A面とB面それぞれ一枚ずつを作り、些細な欠陥も許されないのでカッティング後は丹念に検査される。
②原盤(マスターレコード)作成
カッティングしたラッカー盤を水洗い、更に超音波で小さい埃なども残らないように洗い落とす。
ラッカー盤へ薄く銀を乗せ、その上から二度にわたって電圧を与えながらニッケルをメッキする。
ラッカー盤からメッキを剥がし、間に乗せた薄い銀は薬品で溶かし最終的に取り除く。
ニッケルだけになった原盤にクロムでコーティングし、表面を保護をする。
乾いたものがスタンパー(型)になる。
④フォーミング加工
スタンパーの中心部へ取り付け用の穴を空けたり、端の余分にはみ出た部分をカットしたりする。
⑤プレス作業
ペレット(塩化ビニールなどの粒)がレコードの素材。
ペレットとラベルが一緒に180°Cくらいに熱されたスタンパーでプレスされる。
スタンパーの温度を徐々に下げて固めて、余分な部分をカットして出来上がり。
▼こちらの動画で、とても分かりやすくその工程を見ることができる。
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自分の音楽をレコードで出すには?
流石にラッカー盤のカッティングやプレスを個人ですることは難しいので、いざ「自分の作った音楽をアナログレコードで出したい!」といった際にプレスする工場をいくつか紹介しよう。コスト面を考えると海外のプレス工場を選ぶことが多いそうだが、枚数や内容が決まり次第それぞれ見積もりを出してもらうのがいいだろう。
東洋化成株式会社

出典:http://www.toyokasei.co.jp
アジアにたったひとつしかないアナログレコードを製作している工場は、実は日本にある。
安心の国内品質と、テストプレスとカッティングの立会いが可能。
QRATES

出典:https://qrates.com
日本発の新しい音楽サーヴィス「QRATES」(クレイツ)がヤバい。何がヤバいかというと、なんとオンラインでアナログ盤を小ロットで誰にでもつくれてしまうのだ。つくれるだけじゃない。販売も行える。さらには「予算がない」なんて方には、クラウドファンディングを行えるサーヴィスも搭載している。
ありそうでなかったサーヴィス。これを実現するためにチェコの工場と契約を結びました。100枚からの小ロットから注文可能でクラウドファンディングもできる。ここで販売もできるので、在庫を自分で抱える必要もないんです
出典:http://wired.jp/2015/04/24/qrates/
Technique

出典:http://www.technique.co.jp/topics/?p=7145
渋谷のレコードショップTECHNIQUEが、アナログレコードのプレス代行サービスを開始した。
このサービスには、12インチEP、LPをはじめ、7インチ盤、ピクチャー盤、多種多様のカラー盤など、多数のフォーマットが用意されているほか、マスタリングなどはTECHNIQUE提携のドイツ、イギリスの信頼ある4つのスタジオから選択が可能。また、テスト盤で音質の最終的な確認もできるようになっている。
アナログの需要が高まっている昨今、アナログをプレスしたいけれど、どうしたら良いのか分からないというクリエーターも多いはず。長年アナログレコード製作に携わってきたスタッフが、一からアドバイスもしてくれるとのことなので、興味のある読者の方はTECHNIQUEのウェブサイトをご覧頂きたい。
出典:http://www.clubberia.com/ja/news/4821-TECHNIQUE/
RECORD EXPRESS

出典:https://records-express.com
海外アナログレコードプレスを安心サポート!
7インチレコードやソノシート。
カラー、スプラッター、ピクチャーレコードなども対応している。
Shemer-records

出典:http://shemer-records.com
小ロットでお考えならこちらの「Shemer-records」がオススメ。
DJで使用するため、記念品、特別なプレゼントとして作ったりと、大切なレコードを1枚からでも作ることができる。
基本的な料金システム
【原盤(アナログのマスターディスク)製作料】
+
【プレス作業費 × 受注枚数】
+
【レーベル費用】
+
【パッケージング(ジャケット等)費用】
「レーベル費用」や「パッケージング費用」等などのオプションは各会社によってではあるが、基本的には「原盤代」と「プレス作業でかかるコスト」が枚数分必要。
そして最小 / 最大ロット数などルールも設けているはず(もちろん枚数は多くなればなるほど1枚あたりの単価が下がる)ので、もちろん個人での発注だったとしてもプレス会社(または代行会社)と予算や内容の相談をするといいだろう。
アナログレコードの回帰が期待される昨今、レコードを手に取ったことのある人でもなかなかそのレコードが作られる制作過程は知らない。
今回、レコードの制作過程から調べてみて、CDと比べても出来上がるまでのスピードやコストがかかるものだが、それ相応にいくつもの工程を機械だけではなく、人の労力をかけて大切に制作しているものだと判った。
物理的に大きくて取り扱うにもデリケートなものにはなるが、ケアをするために手間がかかったりする分、愛着が増すのではないだろうか。