音楽ジャンル「UK HARDCORE」に感心のある日本人の中で、DJ Shimamuraの名を知らない人はほとんどいないのではないだろうか。
昨年はオリジナルアルバム「FENIX」のリリースや、アイドル「アイロボ」のリミックス・楽曲制作も行うなか全国をDJで巡り、
昨年9月にはサンフランシスコのクラブイヴェント「So Stoked goes Kawaii」にゲスト出演。
今年に入ってからは英国BBC Radio 1パーソナリティーや、世界中のEDM / Hardstyle / Hardcore系ビッグフェスの常連DJとしても知られるKutski監修によるコンピレーション「Does It Sound Good At 170」に自身のリミックスが収録されるなど、活動は目まぐるしい。
渋谷clubasia、秋葉原MOGRAで開催される自身とMC STONEによるパーティー「WEEKEND RAVERS」は常に満員で人が絶える事はない。
block.fmにて毎月第3木曜にオンエアされる番組「RAVE-A-RIDE(レイヴアライド)」も好評だ。
今回はそんな彼にDJ、また制作についてインタビューを行った。
HARDCOREは、「速くて派手で明るくて最高!」だった
・SHIMAMURAさんは、ハッピーハードコア、UKハードコアを中心に制作、プレイしていますが、
その最初のきっかけはどういうものだったのでしょうか?
元々はテクノ全般が好きで、CDやレコードを買ったり作曲したりしていたんですが、たまたま高校の近くにあった宇都宮のレコード屋さんで出会ったハッピーハードコアのレコードや、野外レイヴ《RAINBOW2000》の影響でハードコアにハマりました。「速くて派手で明るくて最高!」って感動しました。それが高校1年くらいの頃です。
影響を受けたアーティスト
・リスペクトや影響を受けたアーティストを教えて頂えて下さい。(国内、海外問わず)
初期に影響を受けたのはYMO、電気グルーヴ、Mijk van Dijk、DJ EVIL、DJ HORN、Yo*C、DJ Luna-C、DJ Vibesなど、パーティーやDJ MIXから影響を受けることが多かったです。
近年だとGammer、Darren Styles、Mob、kors k、Kan Takahiko、Remo-con、HyperJuice、Masayoshi Iimoriなど、UKや身近なアーティストからインスパイアをもらうことが多いですね。リスペクトはずっとハードコアシーンを見守り続けているHixxy / Slipmatt / Dougal / MC Storm / Sharkeyなど、レイヴレジェンド達には常に敬意を持っています。
「ハードコアは『あえてこだわらない』のが重要」
・現在、どういう環境で作曲を行っていますでしょうか?(DAW、機材等、またそれを使うに当たった経緯など)
10代の頃の初期はハードウェアで制作していたんですが、2008年くらいから全てPCオンリーの環境に切り替えました。
DAWはCubase 6.5です。ハードだとaccess Virus TIと、たまにRoland α-JUNO2やTR-808を倉庫から出して来て使っています。
・曲を制作するにあたって、キック、ベース、上物など良く使うシンセ、こだわり等を教えて頂けると幸いです。
キックはサンプルを加工することが多いですね。ハードコアは『あえてこだわらない』というのが重要だと思っているので(笑)なるべくVengeanceシリーズや定番サンプルライブラリーから持って来てEQ加工などして使っています。あまりこだわると悪い意味での"オタク感"が出てしまう気がするので。それが良いって場合もあるんですけど。
ベースシンセはNI Massive、Lennar Digital Sylenth1、Xfer Serumを使うことが多いです。上物もSylenth1、reFX Nexus2が多いけど、最近Reveal Sound Spireを良く使っています。
・その他、音を作る際に良く使うプラグインを教えて頂ければと思います。
あまり音は作らないんですが、しいてあげるならサイドチェインのプラグインをXfer LFO ToolsとかNicky Romero KickstartとかVPS Multiband Sidechainなど、使い分けたり重ねたりして使っています。これが一番良く使っているような気がします。
・マスタリングにあたって、どういう処理をしていますか?
クラブでプレイする事を目的に自宅で簡易マスタリングをすることが多いので、プレイする他の曲に近いバランスになるようにしています。
基本はマキシマイザーとリミッターですね。EQはMSでサイドをちょっと上げる程度にしか使わないです。
デザインについて
・フライヤー、WEBデザインなども自分で手掛けていますが、影響を受けたデザインのアーティストなどありますでしょうか?
いっぱいいます。FORCE GRAPHIX、パピエコレ、デザイナーズリパブリック、ネンド、漢字エフェクツ、digitech media(OBIE)など。
自身とMC STONEによるパーティー「WEEKEND RAVERS」のフライヤー
「歌物も、最初はフレーズが降りて来るのを待つ」
・コード進行がわからないと以前ツイッターで書いていましたが、本当に全部勘でやっているのでしょうか?
歌もの、ラップが入る曲を手掛ける際、どのような作り方をしていますでしょうか?
勘というか聞いたことがある鍵盤を押さえる感じでやっています。「この鍵盤とこの鍵盤一緒に押すと聞いた事ある音だ」とか「この音の次はこんな音がなると気持ち良いなー」みたいな感じですね。言葉で説明するとアホみたいですけど(笑)あと頭の中で鳴らしたいコードをアルベジオみたいに分解して実際に入力することが多いです。
歌物も、最初はフレーズが降りて来るのを待ちます。その時メロと同時にコードやベースその他の楽器も同時に脳内で鳴っているのでそれを速攻で書き留める作業から入ります。
コードとか音楽理論分かる人は羨ましいですよね。僕も学生時代にテクノじゃなくってバンドにハマってればコードとか覚えられたのになーって思います(笑)
DJの機材について
・DJする際、USBを基本にしてプレイしていますが、PCに移行しなかった理由などありますでしょうか?
PCDJにも興味はあるんですが、まず単純に重いのが一番のネックです。「せっかくあの重いレコードでのDJ時代から解放されたのに、なんでまた重い機材持ち歩かないといけないんだよ!」って思います。特に遠征とか大変です、駅の階段とか。あとBACK 2 BACKがしやすいとか、次のDJからのバトンを受け取りやすいとかもありますね。
PCDJには興味はあるので、もっと利便性が高まったら挑戦したいですね。
「海外では、ティーンの頃からクラブで遊ぶのが普通」
・海外でプレイした際の反応、受ける曲、日本との違いなどありましたら教えて下さい。
海外は行く場所、タイミングで結構反応違いますね。僕の場合「フロムJAPAN」な肩書きで行くことが多いので、アニメネタの曲とかボカロ系のいわゆる現代日本製な音が受ける時もあれば、
超定番のクラブクラシックのREMIXが受けたりなど、様々なケースがあります。
日本との違いは、向こうだと子供の頃から音楽が鳴れば踊るとか、学生パーティーでダンスイベントとか、ティーンの頃からクラブで遊ぶのが普通みたいなところがあるからかなりアグレッシブにパーティーを楽しみに来ますね。めっちゃ内気っぽい子も踊るとダンス上手いとか(笑)
逆に日本も世界も一緒だなって言う所だと、酔っ払うとみんな一緒ってとこですね(笑)
基にあるのは「楽しく馬鹿騒ぎしたい」
・今のUkハードコアシーンとこれからの進化について、もし思う事があれば書いて頂ければと思います。
現在、海外のビッグEDMフェスにも出演して注目されはじめているUK HARDCOREですが、基にあるのは「楽しく馬鹿騒ぎしたい」みたいな部分なので、この感覚がより世界中に広まって世界がもっとダメになっていけば良いなーと思います(笑)今後もイイ感じに盛り上がったり衰退したりするんじゃないでしょうか。誰も束縛や戒律を作らない良いシーンなんで広まれば良いと思います。
今後の予定
・今後のスケジュール、リリースなど書いて頂けるとありがたいです。
2016年4月にリリースしたミニアルバム「REMIX」が発売中です!それの一環で全国DJで回っております。
詳しくは僕のサイトで最新ギグ情報ゲットできます。
また、block.fmにて毎月第3木曜の夜20時より「RAVE-A-RIDE」という番組をMC STONEと共にお送りしています。国内外の最新ハードコア情報がゲットできると思います!
http://www.djshimamura.com/news.html
出典:http://www.djshimamura.com/news.html
また、SHIMAMURA氏が影響を受けた順に並べてあるYOUTUBEのリストを教えて頂いた。
時系列に並んでいるので、興味がある方はこちらも併せて参考にして頂きたい。
https://www.youtube.com/playlist?list=PLJiKqELaOBWkJ4pyVBpy6cZOlgR9D50EU
出典:https://www.youtube.com/playlist?list=PLJiKqELaOBWkJ4pyVBpy6cZOlgR9D50EU
追記